東京大学 生産技術研究所 マイクロメカトロニクス国際研究センター
精密機械工学専攻(マイクロ要素構成学)ナノ・バイオ計測研究室 金範埈研究室

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研究内容

概要

金研究室では、半導体加工技術と機械的な3次元マイクロ加工技術を用いたマイクロ・ナノスケールでのデバイスの製作およびそのバイオセンサとしての応用に 関する研究を行っています。研究内容として、マイクロマシニングを用いてミリメートルからマイクロ、さらにナノメートル寸法においた超微細加工やマイクロ、ナノメータ世界の精密測定に関するものである。現在、主な研究内容として、半導体加工技術と機械的な3次元マイクロ加工技術(マイクロ放電加工)を用いたマイクロ・ナノスケールでのデバイスの製作およびそのバイオセンサとしての応用に関する研究を行っている。

より安価でかつ省エネルギで製作できる高機能化、高集積化バイオセンサーチップの実現を目指して、トップダウンアプローチや自己組織化を利用するボトムアップアプローチ手法を融合したインターディシプリナリ研究を行っている。分子の自己集合化・組織化を工学的に応用している様々なボトムアップアプローチ手法の中で、特に吸着高分子の自己組織化単分子膜(SAM, Self-Assembled Monolayer)に注目し、ナノ・バイオ領域における表面処理として、SAMを用いた表面修飾手法の工夫や、大面積ナノパターニングのための液中でのマイクロコンタクトプリンティング(μCP)技術開発に成功し、さらにSAMを用いた様々のバイオ物質のマイクロパターニング技術などを研究している。

一方、バイオMEMSデバイス開発に関する研究に対して、単一細胞の電気・物理的特性を測るMEMSデバイスの製作と分析に成功している。そのデバイスを応用して加工という観点から着目、細胞中にDNA、その他の分子を入れる高効率エレクトロポレーション(電気穿孔法)マイクロチップも開発した。最近、低コストで高スループットの使い捨てができる新しいDNA検出用ナノチャンネルの製作に成功した。そのナノチャンネルを用いてランダムコイル状態のDNA分子を伸長して挙動を観察し、そのデバイスの効用性を立証したので、高く評価された。さらに、様々な生体分子、特に生体機能分子であるタンパク質を対象に、単分子レベルでその温度条件による反応および分子間相互作用を調べ、分子の構造や反応機構、ダイナミクスを明らかにすることを目指して、その新しい手法として単分子の熱力学的反応計測用マイクロヒーターを製作、評価する研究を行っている。

様々なマイクロ・ナノスケールのものづくり、新しいナノ・バイオデバイスの開発から実用化まで産学共同研究および共同開発を活発に行うと同時に、マイクロメカトロニクス国際研究センターのメンバーとして、フランス科学研究センター(CNRS)をはじめスイス、オランダ、韓国などの大学、国立研究機関との国際共同研究及び交流を通して、最先端の研究情報交換と論議の場を構築し、ナノ・バイオ計測に関する研究に取り組んでいる。今後は、単なるナノ構造の製作ではなく、様々な機能を持つナノ物体を構成要素として必要な機能を発揮するナノシステムを構築し、次世代のナノテクノロジーの医療、情報、新エネルギ・安全社会の分野における応用展開を実現したい。

現在の主な研究テーマ

マイクロニードルの新世界

近年は、生分解性マイクロニードルのパッチ型無痛ドラッグデリバリーシステムの実用化を目指して、新規マイクロニードルの製作技術を開発、経皮ワクチンパッチ、ペプチド・タンパク性医薬品を含む難吸収性薬物の経皮パッチ等の開発と臨床実験を進めて、近い将来、医療の現場で既存の注射製剤や経皮吸収製剤と並ぶような、マイクロニードルを用いた革新的ドラッグデリバリーシステムの実現を目指しています。なお、多孔質のマイクロニードルパッチを用いて、毛細管力で微量の細胞間質液を皮下から採取し、手軽に血糖値などのモニタリングができるセンサーを開発しています。

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その他の研究テーマ

シャドウマスクを用いた多機能マイクロ・ナノパターニング

自己組織化単分子膜を用いたナノコンタクトプリンティング

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保存可能な機能的マイクロプロテインチップの開発

単一細胞の電気・物理的特性を測るMEMSデバイスの開発

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Single DNA計測のためのナノチャネルの製作

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資料